外国人ビザ(在留資格)とは?種類と違いを行政書士がやさしく解説【2025年版】

外国人ビザ(在留資格)とは?種類の違いを行政書士がやさしく解説【2025年版】
外国人が日本で生活をするためにどのような資格が必要か実はよく分かりませんよね。外国人が日本で働いたり生活するためには、「ビザ(査証)」と「在留資格」という2つの制度があります。この2つは似ているようで、実は全く別の仕組みです。この記事では、外国人ビザ(在留資格)の基本から、どんな種類があるのか、既に働いている外国人ご本人や留学生の方、雇用に関わる企業の方々に関係するポイントを行政書士の視点でやさしく解説します。
コンビニなどでアルバイトしている外国の方、建設現場で働いている外国の方、外資系企業で働いている外国の方、一般的に異なる資格を持って働いてくださっています。その中身をポイントをおさえてお伝えします。
ビザ(査証)と在留資格の違い~入国するために必要な切符か滞在中に必要な切符か~
よく耳にする「ビザ」という言葉、この言葉は外国の方が日本に滞在して働くための許可ではありません。ビザ(査証)は日本に「入国するための許可」であり、発行元は大使館や領事館です。
一方、「在留資格」は日本に滞在し、日本での活動をするための出入国在留管理庁が発行する許可になります。外国の方が日本で活躍するためには、ビザを取得して入国→在留資格を得て就労という2つのステップが必要です。
日本のパスポートは最強!と旅行好きの方はご存知かもしれません。日本のパスポートは2025年のパスポートランキングではシンガポール・韓国に次いで3位にランク付けされ、ビザなしで入国できる国は189か国に及びます。このランキングは「ビザ(査証)」が「入国に必要な許可」というのが肌感覚で分かりやすいのではないでしょうか?他の国々では渡航の際に「ビザ(査証)」が必要となるケースが多いので、日本人は非常に恵まれていると思います。
出典:Henley Passport Index 2025(https://www.henleyglobal.com/passport-index)
在留資格の種類と分類
日本に滞在して活動するための切符である「在留資格」はどのようなものがあるのかお伝えします。2025年11月の段階では29種類あります。初めて見たときは細かく分かれているな、という印象でした。
29種類の中でも重要なポイントは「働ける」か「働けないか」で大きく分かれます。働きたい人、働いてもらいたい人にとってまずはこのフィルターが重要です。
出典:出入国在留管理庁「在留資格一覧表」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/)
| 区分 | 主な在留資格 | 就労可否 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 就労系 | 技術・人文知識・国際業務/特定技能/経営・管理 | 可(活動制限あり) | 通訳、エンジニア、経営者など |
| 身分系 | 永住者/日本人の配偶者等/定住者 | 可 | 永住者、配偶者、日系人など |
| 非就労系 | 留学/短期滞在/文化活動/家族滞在など | 原則不可(許可で可) | 留学生、観光客、研究者など |
これらの在留資格名称は外国人が常時携帯しなければならない在留カードに記載されます。特に就労系の在留資格では、外国人の職務内容と資格内容が一致していることが重要です。一般的には、一致していない場合、不法就労とみなされ、本人だけでなく雇用主も処罰の対象となることがあります。
外国人の雇用で特に関係が深い資格
- 技術・人文知識・国際業務 例:通訳・デザイナー・貿易担当者・マーケティング等
- 企業内転勤 例:海外拠点からの転勤者
- 技能実習 例:技能実習生
- 特定技能 例:特定産業分野の各業務従事者
令和7年6月末での在留資格を許可されている方は永住者を除き技術・人文知識・国際業務で45.8万人(在留外国人の11.6%)と一番多く、次いで技能実習で44.9万人(在留外国人の11.4%)になります。「技能実習」制度は今後「育成就労」制度に変化し、就労の資格で最も多い「技術・人文知識・国際業務」は今後も増加傾向が見込まれます。
出典:出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」(https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00057.html)
外国人を雇用する企業担当者が注意すべきポイント
- 在留カードの資格・在留期限・就労可否(資格外活動の有無)を必ず確認しましょう。
- 雇用契約書・職務記述書と在留資格の活動内容が一致しているかを求人段階から擦り合わせましょう。
- 在留期限の更新管理(カレンダー管理/更新前リマインド)で不法就労リスクを回避しましょう。
- 配置転換・業務拡張の際は資格変更や就労可否の再確認を行いましょう。
一般的には、資格内容と実務が一致しない場合は不法就労とみなされ、本人および雇用主が処罰対象となることがあります。
就労制限がない在留資格
| 資格名 | 例 |
|---|---|
| 永住者 | 永住許可を受けた者 |
| 日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者・実子・特別養子 |
| 永住者の配偶者等 | 永住者・特別永住者の配偶者・日本で出生し引き続き在留している実子 |
| 定住者 | 日系3世、外国人の配偶者の連れ子 |
就労制限のある資格
原則、働けない資格を見ていきましょう。特に大学の「留学生」に関係が深い領域になります。いわゆる非就労系と呼ばれる資格は現在5つになります。ただし、資格外活動許可を受けた場合は一定の範囲内で就労が認められます。
| 資格名 | 例 |
|---|---|
| 文化活動 | 日本文化の研究者等 |
| 短期滞在 | 観光客・会議参加者等 |
| 留学 | 大学、専門学校、日本語学校等の学生 |
| 研修 | 研修生 |
| 家族滞在 | 就労資格等で在留する外国人の配偶者、子 |
「留学生」が卒業後に日本で「就職」する場合の基本
- 在学中の身分は「留学」。就職するには在留資格変更(留学→技術・人文知識・国際業務 等)が必要です。
- 内定先の職務内容が在留資格の活動内容に適合していることが前提。
- 申請は在留期限や入社時期から逆算して準備をすすめましょう。学校・企業・本人の三者連携がスムーズ。
- アルバイトは資格外活動許可の範囲(通常28時間/週)を超えないよう管理徹底しましょう。
資格外活動許可の具体例と注意点
- 代表例:留学生のコンビニ・飲食・小売でのアルバイト(週28時間以内)。
- 許可の種類:包括許可(一般的なアルバイト)と個別許可(特定活動の個別案件 など)。
- 注意:上限超過や無許可就労は不法就労となるおそれ。更新・学業状況にも影響し得る。
判断に迷う場合は、在留カードの就労可否欄と許可内容を確認のうえ、出入国在留管理庁または専門家へご相談ください。
まとめ
- ビザ(査証)と在留資格は別の許可です。
- 在留資格には「働ける資格」と「働けない資格」があります。
- 「働ける資格」はその資格内容と実際の業務内容が合致している必要があります。
合致していない場合、不法就労となり本人だけでなく雇用する企業にも罰則がある可能性があります。
※本記事は、出入国在留管理庁等の公的情報に基づいて作成していますが、制度改正等により最新の運用が異なる場合があります。最新情報は出入国在留管理庁公式サイトをご確認ください。

