文化が続くために、行政書士ができること
文化活動は、誰かの「好き」や「想い」から始まります。音楽、演劇、スポーツ、伝統芸能──どれも人の心を動かし、社会に“豊かさ”を届けてくれる存在です。AIによる創作が加速度的に増えていますが、それでも“人の情熱”から生まれる作品には、まだAIには生み出せない温度があると思います。そんな人々の情熱が生む文化が長く続いていくためには、そこに関わる人たちが安心して挑戦できる環境が必要です。文化の裏には、必ず制度があって、ドロ臭い仕事が積み重なって美しいんだと思います。
華やかな現場の裏はドロ臭い?
私の経験なんですが、レコードショップ、化粧品販売など行っているバラエティショップやドラッグストア、店頭はカッコいいジャケットやオシャレな容器の化粧品、そしてプロモーション契約している有名人の顔等華やかで見ているだけで楽しいですよね。しかしその裏方のショップ店員さん・物流を担う代理店さん・店舗を統括する商品部のみなさん・メーカーの営業・マーケティングと店頭に彩りある商品や販促物が届くには人々の並々ならぬ努力があります。ECにしても画像を作りこむ上でマーケティングを行って、お客様に刺さる内容を日夜検討してきたものが私たちの目に入っています。華やかな現場には見えないドロ臭い仕事があり、それが磨かれて華やかな現場になるのだと思って仕事をしていました。
行政書士がおこなう各種許認可業務や契約書の作成といった業務もその一環だと思います。
法務は、表現の自由を“支える道具”
法律や制度というと、どうしても「堅い」「制限するもの」という印象があります。でも、本来の法の役割は、人の自由を“守ること”。表現する人、創造する人が安心して活動できるように、その挑戦を制度の側からサポートすることが、行政書士の大切な仕事のひとつです。私は「ルールを使って、自由を守る」法務を目指しています。
文化の芽を、絶やさないために
文化をつくる人たちの多くは、行政手続きや法的なことに触れる機会が少なく、「難しそう」と感じてしまうかもしれません。でも、誰かがその橋を架ければ、法律はきっと“味方”になってくれる。わかりにくいを、わかりやすく。文化が続いていくために、制度を優しく解きほぐすこと。それが、私の考える「文化法務」のはじまりです。
おわりに
文化の価値は、数字では測れないと思います。私もライブによく行くのですが、先日運よく拝見できた山下達郎さんのライブから、あらためて音楽の素晴らしさを感じてやる気に充ち溢れました。文化には、人を動かし、街を変え、世界を温かくする力があります。私はこれからも、文化を生み出す人たちが安心して活動できるよう、法務の側から小さな支えを積み重ねていきたいと思います。

